「産後パパ育休」の創設 ~育児介護休業法改正~
育児介護休業を取りやすく、育児介護休業法が改正され令和4年4月1日より順次施行されます。これにより、企業の育児介護休業への対応も変えていく必要があると思われます。今回の改正点について解説します。
Ⅰ 育児休業取得率の現状
本題に入る前に今回の改正のきっかけとなった育児休業取得率の現状についてみていきましょう。令和2年度の女性の取得率は81.6%、男性は12.65%となっています。女性の取得率は高くなっていますが、約5割が第1子出産前に退職しています。男性の取得率は令和2年度に大幅に上がりましたが取得日数は、男性の36.3%が5日未満、8割が1ヶ月未満となっています。
(出典 厚労省「雇用均等基本調査」)
また、第2子の出生割合は夫の休日の家事・育児時間に比例して高くなるというデータもあります。(出典 厚労省 「仕事と生活の調和レポート2019」)
この状況を踏まえ今回の改正となりました。以下改正点についてみていきます。
Ⅱ 「産後パパ育休」の創設・分割取得(令和4年10月1日施行)
1 「産後パパ育休」の創設
男性の育児休暇を取得しやすくするため、「産後パパ育休」が創設されました。
内容
対象期間 子の出生後8週間以内 取得可能日数 4週間まで 申し出期間 原則休業の2週間前まで ※1 分割取得 2回まで取得可 休業中の就業 可能(但し、労使協定を締結し本人が同意したとき) ※1 雇用環境の整備等、法を上回る取り組みを労使協定で定めている場合は申し出を1ヶ月前までとできる ※2 初めにまとめて申し出ることが必要 2 通常の育児休業の分割取得 2回に分けて取得することが可能になりました。(取得の際にそれぞれ申し出) 制度改正により実現できる働き方・休み方(イメージ) (出典 厚労省「事業所向け説明資料 育児介護休業法改正について」) Ⅲ 有期雇用労働者の育児介護休業取得資格要件の緩和 従来あった資格要件のうち、①引き続き雇用された期間が1年以上の要件が撤廃さ れ、②1歳6ヶ月までに契約が終了することが明らかでないことのみになりました。 労使協定を交わした場合は①の要件を設定することも可能です。 Ⅳ 育児休業を取得しやすい雇用環境の整備及び 妊娠・出産の申し出を行った労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務化 (令和4年4月1日施行) 1 育児休業を取得しやすい環境の整備 事業者は育児休業と産後パパ休業が円滑に行われるようにするため、下記のいずれかの措置を取ることが義務化されました 周知事項 ① 研修の実施 ② 相談窓口の設置 ③ 自社の労働者の事例の収集・提供 ④ 育児休業・産後パパ育休制度と取得促進に関する方針の周知 周知方法 ① 面談 ② 書面交付 ③ FAX ④ 電子メール (但し③・④は労働者が希望したときのみ) 2 妊娠・出産の申し出を行った労働者に対する個別の周知・意向確認の措置 本人または配偶者の妊娠・出産を申し出た労働者に対して下記の事項の周知と休業の取得意向の確認を個別に行うことが義務化されました。 周知事項 ①
育児休業・産後パパ育休に関する制度 ② 育児休業・産後パパ育休の申し出先 ③ 育児休業給付に関すること ④ 労働者が休業期間中に負担すべき社会保険料の取り扱い ※ 産後パパ育休は令和4年10月1日から対象 参考 雇用環境整備、個別周知・意向確認に活用できる素材 ② 厚労省社内研修資料・動画 URL https://ikumen-project.mhlw.go.jp/company/training/ ③ 個別周知・意向確認、事例紹介、制度方針周知ポスター例 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000103533.html Ⅴ 育児休業の取得率の公表 (令和5年4月1日施行) 常時雇用する労働者が1,000人を超える事業主は、育児休業等の取得状況を毎年1回公表することが義務付けられました。公表内容は今後省令で定められる予定です。 Ⅵ 育児介護休業に係わる支援策 1 両立支援等助成金 ① 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金) ② 育児休業等支援コース ③ 介護離職防止支援コース があります。 詳細は下記の支援ぺージよりご確認下さい。 2 中小企業のための育児休業・介護支援プラン導入支援 中小企業の育児休業・介護支援プラン導入について無料で相談できます。 参考 厚労省育児介護支援ページ URL https//ikuji-kaigo.com
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