同一労働同一賃金について ~最高裁判例を踏まえて~

query_builder 2022/01/05
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雇用契約書

パートタイム・有期雇用労働法は大企業が20204月から、中小業が2021年4月から、労働者派遣法

2020年4月から改正施行されました。正社員と非正規雇用労働者の不合理な待遇差が禁止され、

正規雇用労働者から求められた場合の説明義務も課せられました。以前にも当ブログでご案内しました   

が、過去の最高裁判例等も踏まえ、重要なポイントについてご案内します。


Ⅰ 改正のポイント

 同一企業内の正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者間の不合理な待遇差をなくし、どの雇用形態でも納得して働けるよう改正されました。ポイントは以下の通りです。

1.     不合理な待遇差の禁止

2.    労働者に対する待遇に関する説明の義務化

3.     裁判外紛争解決手続き(行政ADR)の整備 

 次に各項目の詳細についてみてご説明します。

 

Ⅱ 不合理な待遇差の禁止について

 1 正規社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者の不合理な待遇差の禁止

     職務の内容(業務の内容・責任の程度)

     職務の内容・配置の変更の範囲

  が同じであれば同じ待遇をする。(均等待遇)

  ①、②に加え、③その他の事情が異なっている場合はそれらを考慮して不合理とならない待遇(均衡待遇)を規定しています。


(待遇とは)

   基本給・賞与・退職金・諸手当等賃金の他、福利厚生等(施設・社宅・法定外休暇・教育訓練・安全管理に対する措置や給付)を含みます。


(職務の内容(業務の内容・責任の程度)及び職務の内容・配置の変更の範囲とは)

出典 厚生労働省「不合理な待遇解消のための点検・検討マニュアル」)

    職務の内容・配置の変更の範囲の留意点

        就業規則等に規定があっても転勤・職種変更・昇進等が該当しますが、転居を伴う異動など実態がほとんどなかったときは、違いがあると判断されない場合があります。


(判例から読み取れる各待遇についての判断)

   不合理な待遇か否かは曖昧であり、裁判で争われるケースも多くなっています。

   多くの判例があり、令和2年10月の5件の最高裁判決は注目を集めました。判例によって判断が分かれていたり、また社会環境の変化と共に変わっていくことはありますが、待遇別に傾向をまとめてみます


・給与、賞与、退職金について

    職務の違いや正社員としての人材確保する目的から企業の裁量を尊重し、違いが認められる傾向があります。正社員登用制度があるかどうかもポイントとなります。

    パートタイム労働者・有期雇用労働者の勤続年数が長く、基本給に著しい違いがあった事例では待遇差が不合理とされた例もありました。

  ・各種手当について

    待遇差が不合理と判断されたもの

     無事故手当・作業手当・精勤手当・年末年始手当・通勤手当等

    待遇差が不合理とはされにくいもの

     住宅手当(実態として転居を伴う配転がある場合など)

  ・休日休暇

    待遇差が不合理と判断されたもの

     特別休暇(夏季・冬季)

    待遇差が不合理でないと判断されたもの

     私傷病による休暇・休職制度

     勤続年数によっては不合理とされた判例もありました。

   判例では様々な事情が考慮されるため、事案によってまちまちです。

   社会情勢の変化によっても変わっていきます。

 

 2 派遣労働者の不合理な待遇差の解消(2020年4月施行 労働者派遣法)

  下記のいずれか方式での対応が義務付けられました。

  ① 派遣先均等・均衡方式

   派遣先の同種の労働者との均等・均衡の取れた待遇を決定

  ② 労使協定方式

   労使協定に基づき待遇を決定

 

Ⅲ 労働者に対する待遇に関する説明の義務化

 パートタイム労働者・有期雇用労働者から求めがあった場合、正社員との待遇の格差の内容・理由と待遇決定に際しての考慮事項について説明義務が課せられました。

 また、説明を求めた社員に対しての不利益取扱いも禁止されています。

 

Ⅳ 裁判外紛争解決手続き(行政ADR)の整備

 パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者の均等・均衡待遇に関する調停に関して、各都道府県労働局の紛争調整委員会で調停ができることになりました。

 待遇差の内容・理由に関する説明についても対象となります。

 

Ⅴ 同一労働同一賃金への対応

 正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者の不合理な待遇差については、就業環境や社会情勢の変化にあわせて見直していく必要があります。

 下記のような手順で進めていくと良いでしょう。

 1 パートタイム労働者・有期雇用労働者の実態(人数・待遇改善する場合の人件費への影響度等)を把握する。

 2 正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者を待遇ごとに比較する。

 3 均等・均衡(職務内容や職務内容・配置の変更範囲)について確認をする。

    ⇒必要に応じて再定義をする。

 4 均等・均衡に基づき、待遇差が不合理でないか検証する。

 5 不合理と思われるものを抜き出して具体策を策定する。

 (対策例) 

対策

デメリット

パートタイム労働者・有期雇用労働者の待遇引上げ

人件費の上昇

正社員の待遇を引き下げ

不利益変更になる

正社員の手当を他の手当に振替える

対象者が変わる場合は激変緩和措置等が必要

正社員の手当を基本給に取り込む

賃金構造が変化する

職務内容に違いを設ける

業務の停滞・パートタイム労働者・有期雇用労働者の勤労意欲の低下

 6 パートタイム労働者・有期雇用労働者に待遇の相違の内容・理由を説明する。

 

 以上同一労働同一賃金についてご案内してきました。一番大切なことは正社員と非正規雇用労働者の待遇差について、非正規雇用労働者に説明できる状況にしておくことです。定期的に確認し、キャリアアップ助成金なども活用しながら様々な雇用形態の社員が働きやすく、生産性も上がるしくみを構築していきましょう。

 


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